夢日記を4年間つけている話
大学の授業で自己紹介(出生から今まで)を小説風に書けという課題が出た。
この課題が出た時とてつもなく困った。書くことがなにもないと思ったからだ。私は今までの人生の中で1番になったこともなければ、逆に最下位になったこともない。つまり中の中。どこにでもいる人間なのだ。東北の田舎町で生まれ、高校卒業までをそこで過ごしたのち、都会に憧れて上京し、関東の大学に通い始めてからもう1年以上がたった。人間とは不思議なもので都会に住み続けるとあんなに嫌いだった田舎のあの静けさが恋しくなる。
……ん?なんの話?そう、そうだ、レポートの話だ。レポートの課題が出された日の夜に私はとりあえず今までの人生の中で自分が長い間続けていたものを書き出してみた。
・ミュージカル、これは小5~小6までの1年間だけ劇団に所属していたっていう話。中学入学と同時に部活を始めるからやめた。
・書道、小4〜中3まで続けたが、最高段位の10段をとったのでやめた。
・水泳、幼稚園から小6までの8年間続けた。これも中学入学で部活を始めるからやめた。
・ソフトテニス、中学のときの部活。上手くもなく下手でもなかったと思う。そこそこ。
・弓道、高校の時の部活。これはまあまあ上手にやっていたと思う。今まであげたものと中で比べると。大会なんかに出ると割といい成績を残していた、はず。でも部内で1番上手いわけではなかったので甘く見ても中の上ってところ。
列挙して気づいた。気付かされた。もしかしてレポートに出来るようなことが1つもないのでは?物珍しさでいえばミュージカルの話?いやでもやっていたのはたったの1年だけ。却下。それなら弓道?いや待て、これも却下。そこそこいい成績は残していたが、秀でた成績はないからレポートにするほど話が膨らまない。
完全に詰み。そう思って今日は諦めて寝ようとした時、ふと高校の時に部活の先輩に言われた言葉を思い出した。
「夢って夢日記つけると操れるようになるらしいよ」
これだ!!!
え?なんで?とか言わないでほしい。だって私にもわからない。なんとなくその日の夜、寝る前、直感的にこの話ならいけると思った。
やっとタイトルが回収できる。夢日記。そう、夢日記の話をする。私が高校のときから4年間ずっとつけている夢日記の話。
私が夢日記をつけるようになったきっかけは、さっきも言った通り高校の先輩に言われた言葉だ。そもそもなんでそんなことを言われたのか、という話を少しだけさせてほしい。
高校1年生のとき、私はとあるミュージカル俳優のファンだった。ファンって言葉でいうと可愛いものかもしれないが、その時の私はわりと本気でその俳優と結婚できると考えてた痛々しいオタクだった。
ある日の部活終わり、私を含めた同級生何人かでその日の立ち(弓道の試合形式)の記録をしたり、道場の片付けをしていた。さっきも言った通り私は痛々しいオタクだったので、同級生たちによく「あーあ、夢の中でも彼(私が好きな俳優)に会いたいなー」みたいなアイタタタ発言をしていた。すると、部活が終わって自主練習をしていた2つ上の先輩が私に
「夢って夢日記つけると操れるようになるらしいよ」
といったのだ。その時の私は頭がお花畑だったのでその先輩の言葉を素直に信じてしまった。それが私が夢日記を書き始めたきっかけだ。
夢は見るけど内容を覚えてないということを言う人がよくいるが、私はそんな人がいることに驚いた。なぜなら私は朝目が覚めても、見た夢は全て映像のように頭の中に記憶されているからだ。
そして夢日記を書き始めて2年目。高校2年生になったその時私はあることに気づいた。
夢に1回も彼が出てきていないことに。
夢を操れる話は多分、いや確実に嘘だったのだ。
その時にちょっと夢日記に冷めてしまった。でも、冷めたけども、2年も続けてしまったんだから今更やめられないとも思った。
夢日記へのモチベーションを高めるため(?)にネットで夢について調べてたら、夢占いなるものがあることを知った。
ちょっと面白そうだなと思って、調べたサイトでその日見た夢を占ってみた。
面白半分で調べたのに気づいたらそのサイトを食い入るように見ていた。占い結果が怖いくらいに今の自分の状況に当てはまっていたのだ。
″夢を操るため″に始めた夢日記だったが、2年目からは″夢占いをするため″に書き続けることにした。
当時の私は一緒にふざけ合える友達はいたけど、深刻な悩みを相談できるような友達はいなかったし、家に帰って両親にわざわざ悩み事をつらつら話す気にもなれなくて、悩みはストレスとなって自分の中にどんどん蓄積されていった。
そんな時にちょうど夢占いに出会ったのだ。誰にも言えなかった私の悩みを言い当ててくれたのは、たまたま見つけた夢占いのサイトだった。別に何か解決方法を教えてくれた訳では無い。でもその当時の私は分かってくれる人がいるっていう事実だけで心が軽くなった。
それから今までずっと、約4年間夢を見る度に夢日記は書き続けているし、夢占いも続けている。
占いっていうくらいだから、正直当たってない日もある。めちゃくちゃいいことと、めちゃくちゃ悪いことが書かれていて「いや、どっちだよ!」ってなった日もある。そういう時はいいことだけを信じるようにした。
何が言いたいかっていうと、あの時のドン底にいた私は夢占いに救われたのだ。それくらい私にとっては意味のあることで、大切な出来事だった。
結局あの時大好きだった俳優の彼に夢の中で会うことは出来なかったけど、大学生になって、自分でお金も稼げるようになったので、彼には現実世界で会いに行くことにした。舞台のチケットをとって、劇場に足を運ぶようにした。夢で見るより断然現実で見た方がかっこいい。
これは私が体験した話で、ただ私が救われただけの話だけど、夢日記つけてみるのは楽しいと思う。今になってたまに昔の夢日記とか見返すと笑えるし。私みたいに救われる人もいるかもしれないし。
ここまで読んでくれてありがとうございました。誰かに読んでもらえたなら嬉しいです。
よし、レポート書くぞー